2013/06/24
Pollini(再生リスト)
Pollini......あの自信と気品に満ちあふれた彼の笑顔をわたしは忘れることができない。
ポリーニが大好きになったのが、他ならに、ポリーニによるショパンのバラード第1番の演奏でした。そして前奏曲全曲。中でも16番は傑作の演奏だと思います。
日本ではポリー二対する評価は二極化しており、わたしのピアノの先生方は何故かポリーニ嫌いが多いですね。まあ、偶然そういう先生に習ってしまったのかもしれませんが。「どうしてもポリーニが好きですか?」と問われた時には呆気にとられましたよ。じゃあ、先生はどうしてもポリーニが嫌いなんですね?と問い返そうかと思いましたが、そんな稚拙な論争は無駄と思い、テクニックだけ得ることに集中していました。
ポリーニの演奏を生で聴いたとき、全身が震える思いがしました。
ポリーニはペダルを多用する癖があるようです、が、そんな中にもきちんと旋律が、物語が、曲の真相がはっきりと聴こえてくるのですよ。ある先生にそれを聴いてみたところ、「それは、ピアニズムが強靭でしっかりしているから、ペダルを乱用してもきちんと聴こえてくるんです。」とお返事をくださいました。
ポリーニ演奏はペダルが多いことによって実にカオスのように一見すると聴こえがちになるようですが、わたしの耳にはカオスではなくて、音と音のつながりが見事に表現できているように聴こえていました。
ポリーニはわたしの一生のなかで、最も輝きつづけるだろうピアニストであると思います。
CDやDVDでは彼の本性は見抜けません。彼はスタインウェイを自己の好む音色に調律した上で演奏していますね。それはショパンでもベートーヴェンでも、モーツァルトでもリストでもブラームスでも表現できる万能の音色です。唯一、ラフマニノフやスクリャービンを演奏しないのがすごく残念ですが。
ポリーニの演奏は、アクセスローズやガンず、プリンスなど超ヘビメタルロックを好み、クラシックが大嫌いな主人を、見事に惹き付けて、「素晴らしい」と言わしめました。あんなにクラシック嫌いの主人が、ポリーニのコンサートは行きましたよ。「すごいな」「神業だ」「誰にもまねできない」主人はため息をつくようにつぶやいていました。
実はニコライ・ルガンスキーのことも主人はべた褒めです。ロシアのピアノの雄大さ、強靭さに惚れ込んだようです。
ポリーニはショパン向きのピアニストではない、と思います。ですが、ショパン・コンクールでなぜ優勝できたかは過去の録音などを聴けば分かります。
テクニックのみで審査員や観客を魅了できるということはなかなかできないものです。
ポリーニは自身の未熟さを埋めるべく長期にわかる研鑽期間を設けましたよね。
主人は「弾いている自分がよくわかるはずだよ。自分におごらないところが今日の成功へと結びついたんだろうな。本人は決して計算づくで研鑽したわけじゃないだろう」と言います。「その道で食ってくことを考えたら、俺だってそうするよ」
主婦になってから、ポリーニのトークとサイン会の機会に恵まれ、本当は身体がきつくてどうしようもなかったけれどつらさを我慢して行ってみました。
ポリーニはすごく小柄ですね。なのに、厳しさの中にとても温かい物をトークの時の表情に感じました。そしてサイン会の時には、一人一人に最高の笑顔を見せていました。
あれは素晴らしい笑顔でした。彫刻のように美しいだけじゃなく、ポリーニのピアニストとして、人間としての素晴らしさが、表情全体に溢れ出ていました。
あのような笑顔を出せるということは、芸術家として如何に鍛錬を積んできたかが物語っているんだと思います。素晴らしい笑顔でした。
あのときのサインは額縁に入れて飾ってあります。
ポリーニを受け入れられない日本人のリスナー、もう少し頑さを取ってもいいのではないでしょうか。ポリーニから学ぶことはたくさんありますよ。
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